永平寺での3泊4日の参禅体験






   曹洞宗大本山永平寺 福井県吉田郡永平寺町志比5−15

今から約750年前の寛元2年(1244)道元禅師によって開創された

日本曹洞宗の第一道場で出家参禅の道場です。 境内は約10万坪

樹齢約700年といわれる老杉に囲まれた静寂なたたずまいの霊域

に、七堂伽藍を中心に70余棟の殿堂楼閣が建ち並んでいます。


. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 一般参拝出入り口
唐  門                       

永平寺を開かれた道元禅師は正冶2年(1200)京都に生まれ、14歳

の時比叡山で出家し、24歳の春中国に渡り天堂山の如浄禅師につい

て厳しい修行をされて、お釈迦様から伝わった「座禅」という正しい仏の

教えを受け継がれて日本に帰られました。 初め京都に道場を作りま

したが、後に越前の国(福井県)に移られ永平寺を開かれたのです。

 永平寺では、全国各地から集まったおよそ百数十名の年若い修行僧
(雲水)が毎日修行に励んでいます。 これらの修行僧は20余の寮舎
(会社でいう部あるいは課のこと)に分かれて各々の分野で永平寺の
運営にたずさわっています。又、これらの修行僧とは別に、永平寺
の運営や修行僧の教育指導といった仕事を担当する「役寮」と呼ば
れる30名ほどの幹部クラスの僧がいます。
            




座 禅 体 験 

我家は曹洞宗で 父親の納骨や供養などで大本山永平寺へ以前2度
訪れました。又 名古屋市に有る永平寺名古屋別院での参禅会に 時
々 伺い座禅をしてますが一度本山で参禅修行してみたいと思い、今
回 雲水の日常生活に準じた修行をする 3泊4日の参禅体験を申し
込み致しました。費用は4日間で着物と袴借用して13600円です



この座禅堂で4日間のうちの大半を過ごしました。  座禅を
する、お経を唱える、3度の食事を頂くなど。鳥のさえずり、
作法指導の声、時を告げる太鼓の音、雨の音・・・・。  



坐禅堂に安置された文殊菩薩

安らかに笑みされ慈愛に満ちた良いお顔をしてみえます


座禅とは仏教の創始者であるお釈迦さまが行なったと伝えられています。

心身を整えて自然の姿に立ち返り、苦悩から離れた 安楽の境地に自分を

近づけるための修行です。座禅の基本作法は、姿勢を正しく整える
「調身」

、呼吸を整える「調息」、心を整える「調心」の3つ。  . .  安定した姿勢で

身じろぎせずに座り、腹筋を使ってへその下にある「丹田」という部分をへ

こませて息を吐く「丹田呼吸法」を行い、雑念を払って精神を集中させるこ

とがポイントとなります。                     


息は必ず鼻で吸うようにして、吐く時はおへその下の おなかの部

分に意識を集中させて「静かに、細く、長く」息を吐くようにする






ひとつのことに集中している状態を、仏教用語で「三昧」といいます。

呼吸に合わせて、心のなかで1から10までの数を繰り返し数える「数

息観」を行い、ひたすら意識を集中させることが大切です。  


この「三昧」の境地に入ることにより、自分自身を自然な状態に近づ

け、心を乱さない力を養うことができます。          
 

心の中で息を吐く時に「ひとー」と数え、吸う時に「つー」とい

ったように数えていく。そして10までいったら再び「ひとー」

「つー」 と繰り返す。
                  




腹筋を使って息をゆっくりと吐き出す座禅独特の呼吸法は、脳内の

セロトニン神経が活性化され、心と体がスッキリすることは、科学的

にも証明されています。不安や緊張を鎮めたり、ストレスを緩和する

効果がありますので、集中力が高まる状態にするため、大切なイベ

ントの前には時間を逆算して行なうのもお勧めです。      





座禅は修行の根本。背筋を伸ばして姿勢を正し、静かに息を
整えて座れば、心も自ずから正しくなると教えて頂きました



座禅は自宅でも手軽にできます。 いつ

でも思い立ったときに気軽にチャレンジ。



1 あぐらを組み、片足を太ももの上に引き上げる。
できる人は両足を太ももの上にのせて座る。

  2 右手の親指を左手で握り、そのまま右手を重ねる 

3 両ひざと頭頂部の3点で体を支えるイメージで、
背すじを伸ばして座る            


4 視線を落として、1mほど先の床を半眼で見る 

5 おなかをへこませながら、限界まで鼻から息を 
 吐き、鼻から自然に吸う→ 丹田呼吸をする。





参 禅 修 行 . 体 験

一日の日課 (冬期間は1時間程起床時間が遅くなります)

起床洗面 暁天坐禅 朝  課 小  食 作  務 坐  禅 日  中
 3:30  3:50  5:00  7:00  8:30 10:00 11:00

中  食 作  務 坐  禅 晩  課 薬  石 夜  坐 開  枕
12:00 13:00 14:00 16:00 17:00 19:00 21:00

朝  課 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .

 4時半すぎ座禅が終わると、法堂での朝堂(朝の読経)に参加します。

 空が白みかかる頃、修行僧の読経の声が 山内に響き心地良いです。

小鳥のさえずりもよく聞こえ、気持がとっても清清しく感動しました


 京都から参禅にみえたミュージシャンの人が100人からの読経

の響きに感激し、曲作りの参考になりましたと言ってました。


行 鉢 . . . . . . . . . . . . / / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ..

 行鉢とは正式な作法に則り食事を頂くことです。永平寺の食事はいわ

 ゆる精進料理と言われる菜食で、食事も大切な修行となっています。

畳半畳で座禅を行い、其処で3度の食事も頂きます。
。 . . . . . . . .

作法は大変きびしく、厳粛のうちに90分ほどで終わり最後に大

太鼓が打ち鳴らされます。食事は皆おいしかったです。
。   。

作 務 . . . .  . . . . . . . . . . . . . .. . . .

 永平寺の修行の中心は 座禅ですが、毎日行われる掃除等の 作務は

 動の座禅と言えるもの。洗面所・東司・洗い場・禅堂等掃除しました


 
参禅係りの5人の雲水さんの細かな心遣いが大変行き届いて

おり、気持良く座禅修行ができました。有難う御座いました。

朝   食

白米・・1/2合 沢庵・・50g <胡麻塩 >白胡麻・・1g 天然塩・・適量


 粥で濡れた さじの先に、胡麻塩を少量付けて口へと運びます、お米

特有の甘さと胡麻塩の塩辛さが相まって、舌が一種独特の感覚。

 また、沢庵が通常考えられないくらい薄く切られています。 それは、

食事を行う僧堂(坐禅堂)が東司( トイレのこと)、浴室 とともに

音を立ててはいけない "三黙道場 " の一つに数えられていること

に由来しています。 厚く切ってしまうと当然ボリッボリッと音がす

るので極限まで薄くし食べる側もゆっくりと噛んで音を立てない

ように細心の注意をはらいます。            
 。




. . . . . . . .七 堂 伽 藍 . .   . . .

寺院の建物ことを一般に伽藍と呼びます。 これは僧侶が修行をする清浄な

場所という意味があります。この中でも特に七つのお堂は「七堂伽藍」と呼

ばれ、日常の修行に欠かすことの出来ない重要な建物です。 「七堂伽藍」

とは山門・仏殿・僧堂・庫院・東司・浴室・法堂のことで特に僧堂・東司・

浴室は三黙道場といって一切の私語は禁止されています。 
     。 

仏 殿   七堂伽藍の中心に位置し永平寺の御本尊、釈迦牟尼仏がまつられてま

す 本尊が安置されてる中国宋時代の唐様建築が美しい総檜造りの建物
法 堂 七堂伽藍の一番奥に位置し、説法や各種法要が行われます

高僧が法門を説いたり、法要等の儀式が執り行われる建物
庫 院 大庫院(だいくいん)食事を司る台所を初め賓客の接待の間などがあり

ます 雲水が食事を作るという修行を行うところ、いわば台所
山 門   永平寺最古の建物で、三解脱門とも称せられ仏の世界に入られる関門

です日本曹洞宗第一道場の勅額が掲げられた楼閣で永平寺最古の建物
東 司 お手洗いのことで、身心共に清浄となることを心がける道場です

雲水たちの手洗い、僧堂・浴室と同じく三黙道場のひとつ
僧 堂   修行僧の根本道場で、座禅・食事・就寝などが行われます

雲水が坐禅や食事・就寝をする修行の基本となる建物
浴 室   入浴は大切な修行であり、静寂の中で行われます

一切の私語が禁じられている永平寺三黙道場のひとつ



山    門

 寛延2年(1749)に再建された中国唐時代様式の楼閣門で、両側には仏教の
守護神である四天王が安置され見上げると 吉祥山永平寺の命名の由来で
ある「吉祥の額」が掲げられていす。山門2階には5百羅漢が祀られていて
中央には後円融天皇の勅額「日本曹洞第一道場」が掲げられてます。
   

仏   殿
 中国宋時代様式の二重屋根と床は石畳となった美しい伽藍。中央の須弥壇
と呼ばれる壇の上には本尊の釈迦牟尼仏しゃかむにぶつ(お釈迦様)が祀
られ三体の仏像は向かって左から過去・現代・未来の三世を現しています。
また欄間には禅宗の逸話が図案化された12枚の彫刻がはめられています


。. 

法   堂
禅師様の説法の道場で、朝のお勤めなどの 各種法要が行われます
中央には本尊「聖観世音菩薩」をお祀りし、階段の左右には阿吽
(あうん)の白獅子が置かれています。
         
.    

。. 





    , ,
僧 堂

明治35年(1902)の改築で

雲堂・座禅堂とも呼ばれるこの建物

は座禅、食事、就寝に至るまでの修

行の根本道場であり、堂内中央には

知恵の象徴である文殊菩薩を安置

し約90名が座禅のできる「単」と呼

ばれる席が設けられていま



  大 庫 院

昭和5年(1930)の改築で


1階は食事を作る典座寮と呼ばれ

る台所があり、玄関の正面には足

の速いことで有名な韋駄尊天が祀

られ、右の柱には大すりこぎが掛

っています。2階は来賓接待の間

で、3階は150畳の大広間
「菩提

座」があり伊藤彬画伯による襖絵




   鐘 楼 堂

昭和38年の改築で、中に吊るされ

た「除夜の鐘」で有名な大梵鐘は

重さが約5トンあります。大梵鐘は

1日に朝・昼・夕方・夜四回修行僧

が撞きますが、一撞きごとにお拝を

して撞かれる梵鐘の音は、単なる

行持の合図というだけではなく、聞

く人に心の安らぎを与えてくれます



. . . . 承 陽 殿 (じょうようでん)
永平寺の御開山道元禅師の御尊像と御霊骨を安置して、左右に二祖
孤雲禅師、三世 徹通禅師、四世 義演禅師、五世 義雲禅師および
総持寺開山太祖螢山 禅師の御尊像を祀っています。 いわば曹洞宗
の聖地とも言うべき場所です。
. . . .        . . ... . . . ..

                                
, , , , , , 寂 光 苑 (じゃっこうえん)
道元禅師750回大遠忌の記念事業として平成12年に整備。苑内には
道元禅師の父母の恩に報いる」父母塔」、出家の志を立てた姿を現す
「稚髪像」、明全和尚とともに中国に渡り如浄禅師と出会い正しい仏の
道を得た恩に報いる「明全塔」と「如浄塔」などあります
    。





   傘松閣(さんしょうかく)

平成六年の改築で、1階は参拝者の控
え室や、研修・宿泊のための部屋。2階
は156畳敷きの大広間で、昭和5年建
築当時の天井絵をそのまま修復した、別
名「絵天井の大広間」があります。絵天
井は昭和5年当時の著名な画家144名
よる230枚の花や鳥を中心に描かれた
色彩画です。 



  報恩塔(納経塔)

平成8年宮崎禅師の発願で建立さ
れた、写経を納める塔です。毎朝の
お勤で祈願・供養をしています。
経本は大きな声で唱える程
集中できました





回廊の長さは屋根付き900メートル
階段は500段


若い雲水さんは全体的にとても
きびきび動かれていました

雑念を振り払い座禅に集中してると
時間が短く感じます



  瑠璃聖宝閣

平成14年道元禅師750回大遠
忌の記念事業事業の一つとして
改築した展示場と収蔵庫を兼ね
た宝物館です。

国宝の「普勧坐禅儀」をはじめ重
要文化財や書・絵画・書籍・器物
など永平寺に伝わる宝物数千点
のほか、古文書も多数収納。



山門を見上げると吉祥山永平寺の命名の由来である「吉祥の額」が掲げられています




人は生まれ、やがて死ぬ。
生きる日々は甲斐ある生を送れ。
死するは生き甲斐を尽くして死ね。

皆で近くの永平寺ダムまで散策しました

参禅者の皆さん来てやって良かったと、怠け心がおきたら又来たいって言ってました

若い女性の皆さんはいままで不規則でわがままな生活をし
てたって反省してみえた、だらけたら又永平寺来たいって




ミ ニ 知 識

 如来・・・・・如来とは悟った人のことで、仏のこと。真理の体現

        者釈迦如来、 宇宙の中心大日如来、 極楽浄土

         の阿弥陀如来、長寿や薬の薬師如来などがある。


菩薩・・・・・・菩薩は仏教では如来(仏)の次に位置。悟りを求

        めて修行している人を指す。人々を救うため三十

        三身に化身する観音さま。六道の世界で救う地

蔵さまにみられる。       
 。  


明王・・・・・仏の人々を救おうとの願いが実現できるように、

       様々な障害を取り除くための使者としてあらわ

     れた王である。不動明王、愛染明王など。


・・・・・・・仏教の諸仏・諸菩薩を守る神。帝釈天、弁財天

   毘沙門天、梵天、吉祥天、四天王など。






研修道場である吉祥閣の2階ロビーに道元

禅師からのメッセージが額に入っていました


ひとの価値  無価大宝(むげたいほう)


ひとの価値は 地位・財産・職業に関係ありません

知識・能力だけでひとを評価すると過ちを招きます

知識を生かす 心と行い こそ大切です

ひとの価値は心と行いから生ずるのです





最初の一歩  発菩提心(ほつぼだいしん)


何ごとにおいても最初の一歩をまちがえると

とんでもない方向へ行ってしまいます

仏道の修行は自分が救われるためでは

なく世のため人のためにつくすことです


この誓願から最初の一歩を踏み出しましょう





修せざれば現われず修証一等(しゅしょういっとう)


「知る」ということと「わかる」ことはちがうのです

知っていても 実行されなければ

わかった ことにはなりません


薬の効能書を読んだだけでは病気は治りません

禅 も実行してはじめてわかることなのです





足ることを知る心 少欲知足(しょうよくちそく)


貧しいことが 善でもありません

豊かなことが 悪でもありません


貧富にかかわらず貪欲の心がお

こるとき人は美しい心を失います


仏心とは 足ることを知る心のことです




禅の世界では、人を 「本来無一物」 と定義している
この世にあふれる物に目や心を奪われ、執着するた
め心が曇り、不満や悩みが生まれる。つまり、曇りの
ない晴れた心を持ち、執着心を捨てなさいという教え





遠藤老師の法話を拝聴しました

人の痛みを我が痛みとし、欲望は二の次に

仏道の祈りは親がわが子を思う祈りと同じ

この世において無常ならざるものはあるのでしょうか

生まれて死ぬ一度の人生をどう生きるか



永平三世徹通禅師七百回御遠忌奉修に当たり、
「喜心・老心・大心」と書かれた額を頂きました。

喜心 ・・・・・・・・歩みよる人には 安らぎを

老心 ・・・・・・・・・・訪れる人には 微笑を

大心 ・・・・・・・・・去りゆく人には 幸福を



中国に入った仏教は老子や道教を受け皿にして禅になり、そして中国の禅

思想が、日本の禅になってきている。老子的な思想がなかったら、仏教の

空観、「空」という考え方は、中国に入らなかっただろうと言われています。


    


知足福・・・・・・・・・足るを知るは幸せなり

欲を捨てる勇気をもっと強く持ちたいです)



日常から抜け出して お寺で手を合わせる、 思いを巡らすことは何だろう。
目を閉じるとなんだか時間がゆっくりと進みます。ほっとするような 心地よ
い時間 手のぬくもり・・。日々の暮らしへの感謝、幸せや平穏への願い・・














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